踊る猫の生活

創作のような日常/日常のような創作

スマホが私にくれたもの(は「キリンが逆立ちしたピアス」ではない)その二

SYMBOL

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お題「スマホ」

スマホに依って人と接する距離が縮まった。それは良い意味でも悪い意味でもそうだ。私は差し当たって仕事上のつき合いのある方と LINE や Facebook でやり取りはしていないのだけれど、しなければならない環境に置かれている方は居るのだろう。学校でもネットに纏わる虐めは多発しているという。厄介な時代になったことは間違いない。そういうことを以前の記事に書いたのだった。

スマホが他に私にもたらしたものと言えば、多分それは膨大な情報だろう。これもニコラス・G・カーの受け売りになるが、私はスマホを持つようになってから様々なニュースを仕入れるようになった。スマートニュースを導入したり天気予報を見てみたりするようにもなった。そのようなニュースの内、自分に関心のあるものなんてごくわずかだ。だがカタログの類がそうであるように、良質なニュースをひとつだけ並べたのであればそれはニュースにはならない。玉石混交で様々なニュースが並んでいること、それ自体が重要なのだ。

それ自体は、いつも言っていることだが良くも悪くもない。情報の氾濫に依って『シン・ゴジラ』を観たくさせられていることもまた事実だし(最近だと『ラ・ラ・ランド』を観たい)そのようにして情報の掌の上で踊らされるのもひとつの生き方なのだろう。これ自体は間違っているとかいう問題ではない。この生き方を選ぶにあたってメリットもあればデメリットもあるという、それだけの話だ。私自身自分が膨大な情報の荒波の中で揉まれて生きているな、という実感はある。これだけの量の情報を捌き切るなど不可能だろう。

Amazon やその他のアプリに依っては(昨日読んだ田中慎弥『孤独論』にも書かれていたが)「お薦め」を提案してくれるものがある。私はついこないだ WATCHA というアプリを入れてみた。果たしてどう転ぶのか分からない。意外な出会いが転がっているのかもしれないし、ないのかもしれない。その一方で書店に行き、こんな機会がなければ手に取ることもなかったであろう睡蓮みどり『溺れた女』を買って帰った。こういうこともあるからリアル書店は便利なのだ。購入記録に沿ったものではなく全く関連のないものが目に入るということもあるのだから。

孤独論: 逃げよ、生きよ

孤独論: 逃げよ、生きよ

 
溺れた女: 渇愛的偏愛映画論 (フィギュール彩)

溺れた女: 渇愛的偏愛映画論 (フィギュール彩)

 

例えば仕入れられる商品の量には限度がある。だがネット上の「情報」は(ユーザーが次々と提供することも出来るので)無限大の規模に膨れ上がっていると言える。ネットはそんな無限大の規模の情報をストック出来るまでに成長している。この駄文だって恐らくはそうした無限大の情報の内のひとつだろう。ではその情報とどう向き合うか。田中慎弥氏のように敢えて「孤独」に、つまり情報と隔絶した場に己を置くのもひとつのやり方ではあるだろう。だが、それは田中氏も認めているように普通の人間にはなかなか出来にくい。

膨大な情報が仕向けるものはなにか。それはいち早く(自分の身近な事柄、例えば自分の生活や家族の健康や仕事上の悩みといったものに対する意識を捨象して)潮流を読み取ろうとする心掛けである。それももちろん良い方向にも悪い方向にも向かう。情報の流れがあまりにも激し過ぎるあまり自分を見失い、自分自身の不幸な現実から目を背けるために情報に逃避する人間も居るのだろう。逆に自分自身の現実を考えて情報を巧く適用しようとする人も居るのだろう。では果たしてどちらが賢明か? それは私には分からない。

情報は氾濫する。スマホを持っていると余計にその情報に敏感になる。村上春樹氏の新刊が出たとか、さっきも書いた『ラ・ラ・ランド』の件とかそういうことが人を解放しているのではなく、むしろ閉塞感に追い込んでいるのだとしたらどうだろう? こんなにも沢山の情報をフォローしなければならないのか……そんな苦しみ(だと思わない人も居るのだろうが)を背負う方は大変だろうな、と思う。他人事のように書いてしまったのはある時期から、映画を除けば「新刊」「新譜」をまめにチェックすることもなくなったからで、それはそれで私なりの状況への適応の仕方なのだろう。

話がスマホと繋がらなくなってしまったが、そういうわけで世間の些事に振り回されないで生きるのって大事だよね、というのがこの稿の結論になる。例えば発達障害についても……と、書きたいことは止まらないのだが明日書くかもしれないし書かないかもしれない。

映画の感想をコレクションし始めた。「コレクション」→「For Nothing」で読めるはずだ。分からないことがあったら気軽に訊いて下さい。ただ、ネタを割っているのでそのあたり要注意で。

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