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踊る猫の生活

創作のような日常/日常のような創作

きのうの世界

アドア

アドア

 

お題「今日の出来事」

究極のお題だ。本当になにもネタがない時はこういう話題に流れるしかないというほどの。それであったことを雑然と書き連ねることにした。ただし今日ではなく昨日の出来事。真魚八重子さんの『映画なしでは生きられない』という本についてあれこれ考えた。スピルバーグトム・クルーズの魅力について……どちらもそんなに熱心に観ていないのでこれから徐々に観ていこうかな、と思わされたのだ。この映画評論集は、スジを重視してしまう自分にとって実に入りやすい書物だった。ショットの美しさもだが、スジの魅力を丁寧に語っていると。

映画なしでは生きられない

映画なしでは生きられない

 

そうしたら会社のボスが話し掛けて来たので、慌てて対応しながら「やはり定型発達者と発達障害者の共存は難しいのかなあ」と考えたのだった。いや、相手に罪を押しつけようというつもりはない。むろんこちらが勝手に壁を作っている可能性もあり得るのだ。例えばアンドリュー・ニコルガタカ』のように。だからこちらも意識を改めて学ばなければならないことが多い。あるいは私が考え過ぎるせいかもしれない。私はなにかにつけて過剰な人間、良く言えば個性的、悪く言えば……やはり個性的な(笑)人間なのだから……。

そんなこんなでひと息ついて頭の中で(外出先ではスマホで音楽は聴かないので)ザ・キュアーの「Hot Ho! Hot!!!」を鳴らしていた。昔のことを思い出してみた。仕事が辛くて辛くてしょうがなかった時期。まあ生来の不器用――それが「発達障害」故なのかどうなのかは分からないが――がつくづく裏目に出て困っていた時期のこと。その時期と比べれば今は確実に幸せではないか……そう言えば、と思ったのだった。断酒会に入ってみて分かったのだ。人間の生き方に「正解」はない、誤ちを繰り返しても立ち直れるのだ、と。


The Cure - Hot Hot Hot!!!

去年の年末か今年の頭くらいかに、その「人間の生き方に『正解』はない(いや、犯罪は論外だけれど)」という言葉が、村上春樹氏が小説を書き始めた切っ掛けのようにフッと降って下りたのだった。もしかしたら今の私の生き方で間違っていないのかもしれない。でも、私は自分の環境をより良くすることは出来るのではないだろうか。努力をして悪いと誰が言うのだろうか。それこそ『ガタカ』ではないが(あるいは『カッコーの巣の上で』でも良いのだろうが)自分に制限を課せているだけのことだ。不屈の闘志が実を結ぶかもしれないし、結ばないのかもしれない(映画『ロッキー』がハッピーエンディングだったかどうか分からないように)。

それで『キッズ・リターン』や『アキレスと亀』の皮肉交じりのエンディングを作り上げた北野武監督のことを考え、観ずに済ませて来てしまった『アウトレイジビヨンド』を観なくてはならないのかなと思っていた時に(その前に『アウトレイジ』自体も復習しなければなるまい)、チャイナ・ミエヴィル『爆発の三つの欠片』を図書館で借りたまま延滞していることに気づかされた。お恥ずかしい限りである。今は本当に活字が頭に入らないので町山智浩さんの『映画と本の意外な関係!』を読んだりしているのだった。

財布の中がすっかり空っぽになってしまった虚しさを噛み締めながら、今まで「人間の生き方に『正解』はない」ということをこれまで気づいて来なかった自分の怠惰を恥じた。これまでは親が、兄弟が、上司が敷いてくれた道を歩くだけの人生だったのだ。これからは道なき道を自分で切り開かなければなるまい。「発達障害」がどうとかいうのはその道を探るためのヒントにはなれども、アイデンティティには出来ない。というか、しても良いのかもしれないけれど(なんとなく)やりたくない。ので家に帰って是枝裕和監督の『海よりもまだ深く』を観ようと思ったのだった。でも観られなかった……。