踊る猫の生活

創作のような日常/日常のような創作

嫉妬

UKULELE

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十河進さんの『映画がなければ生きていけない 2003-2006』という本を読んだ。

映画がなければ生きていけない 2003‐2006

映画がなければ生きていけない 2003‐2006

 

この本の魅力についてはいずれ語るかもしれないし語らないかもしれないのだが(良い本ですよ!)、ぼんやり本書を読み終えて「嫉妬」という感情について考えてみた。誰かに対して強いジェラシーを覚える……そういうことってあったかなあ、と。まあ、皆無と言っては嘘になる。知人に対して「あの年齢であんなに音楽に詳しいなんて」「映画に詳しいなんて」「文学に」云々。ただ、そういうのは「嫉妬」と呼ぶのだろうか。むしろ自分の怠慢を恥じて反省させられる……「他山の石」というやつだ。これは綺麗事に聞こえるのだろうか。

逆に私自身が「音楽通だね」「映画通だね」と言われることもないではないわけだが、そういうのも違うように思う。別に「通」になりたいわけじゃない。いや、これも正直に書こう。「通」になりたい時期もあった。文章が取り柄なのでそれでなんとか副業くらいは務まらないかなあ、と。今はそういうのは諦めて(「現実逃避」なだけだとも思ったので、自分をこれ以上売り込む無駄な努力は止めて)真っ当に生きて行くつもりだ。だから今音楽や映画に触れているのはそういう「嫉妬」とか「通」とかいう問題ではなく、内的必然がそうさせるのだとしか言いようがない。ただ、他の人が『艦これ』とかそういうゲームにハマるのと同じノリでハマっているだけだ、と。

話を戻すと「嫉妬」なのだが、まあ今は今の生活で充分なような気もしている。なんだか Twitter でフォロワー数を競ったりこのブログの読者数を考えたりするのも興味が失せたというか……あまりそのあたり人と比べないようにしている。だが、他人を全く意識しないわけではない。やはり人気者になりたいかなあ、とも思う反面、人気者になったら嫌う人も居るだろうと思うので現状維持でも良いような気もしている。所詮ネットなんだから。ネットで幾ら人気者になろうがそれは現実を動かさないだろう。そう思ってひっそりと暮している。

そういうわけで、これまで多分「毛無し」……失礼「貶し」芸が巧いだけなのだろうとタカを括っていたライムスターの宇多丸さんの『ライムスター宇多丸の映画カウンセリング』を読んだりして「やはり幼い頃から映画を観て来た人は違うな」と唸らされたり(この本も良い本です)、あるいは哲学(上野俊哉『四つのエコロジー』とか)の話が出来たりする人に対して唸らされたりするのだけれど、私は年齢面のこともあってそういう人間になれっこないので「嫉妬」までは感じない。自己責任論を振りかざす風潮には唾を吐きたいが、こういうことに関しては自分の怠慢を恥じるばかりである。

自己評価というか自己モニタリング能力が皆無なので自分のことを他人がどう捉えているか分からないのだが(いちいち「私ってどんな人間ですか?」と聞いて回るのも面倒なので)、別に私は自分がエラいともなんとも思わず自分の道を突き進んでいる……と書いてみて、やはりこの文章は十河進さんのあの味わいのある文章に届いていないことに気づかされて落ち込んでしまう。十河さんの文章はブログでも読めるので、まあ読んでみていただきたい。私が映画を観る原動力としているもののひとつが、この十河さんの文章である。もちろんこれも私が逆立ちしても敵わないので、私は私の道を歩き続けるだけだけれど。

sogo1951.cocolog-nifty.com

まあ、そういうことなのであまり他人と比べたり他人の優れた評価を羨んだりするつもりもないのだった。そりゃまあ他人のブログが書籍化されたとかいう話を聞くと「ああ、ネットで食ってる人も居るんだなあ」と思わなくもないけれど、その人はその人なりに知恵を絞って(あと才能もあって)そういう達成をしたのだから、私は人を妬んだりすることは逆に恥ずかしいとも思われる。私は私が最善と思ったことをやり続けるだけだ。水木しげる先生のように、世間的成功とか考えずにひたすら好きなことをやる。それに尽きるのだろう。

www.honzuki.jp

……とまあ、例に依って些事でブログを埋めてしまった。今年こそは毎日ショートコントを書き続けられればと思ったし、また書けると思ってしまったので意識を切り替えたつもりなのだけれど、まだまだ甘いらしい。この路線を踏み外さず例会出席と一日断酒で乗り切ろうと思う。十河さんの本はまだ積んだものがあるので、それをまたチビチビと読んで行きたいと思うのであった。『映画がなければ生きていけない 2007-2009』とか……もちろん映画も観たい。そういう風に生活が充実しているのであればそれはそれで幸せな人生なのかなとも思う。