読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

踊る猫の生活

創作のような日常/日常のような創作

タナダユキ『お父さんと伊藤さん』

お父さんと伊藤さん [DVD]

お父さんと伊藤さん [DVD]

 

タナダユキ監督の作品は不勉強にして『百万円と苦虫女』しか観ていないのだが、監督の「厳しい現実から逃げずに立ち向かうんだ」という姿勢は(あまりと言えばあまりにも、愚直に感じられるくらい真っ直ぐ)伝わって来る。ところどころイヤミにならない程度に笑える要素を盛り込んで、リリー・フランキー氏や上野樹里氏、藤竜也氏のそれぞれの俳優の持ち味を活かして苦い後味を残す映画として仕立て上げたのは大したもの。段ボール箱の中のものがアレであった意味を考えてしまっている。アレは父親の中にある「病」の象徴ではないのか、と。父親もこんな時代に年金生活者として立派にやって行っているようで実は狂っている。甘えあって生きている家族に対するリリー・フランキー氏の視点と辛辣な言葉が鋭い。むろん、これは原作あってのことなのかもしれないと思うので原作を読んでみたくなった。まあややご都合主義的なのはご愛嬌か。